【書評】学校の「当たり前」をやめた。工藤勇一 著
2018.12.29
●【書評】学校の「当たり前」をやめた。工藤勇一
こんにちは。会田です。
『学校の「当たり前」をやめた。』を読んだので、簡単に書評を書いていきます。
●小学校、中学校、高校の先生
現在は公立麹町中学校の校長先生である工藤氏が著書ですが、学校の考え方の基盤とも言える部分を見直す大切さを説いています。
また、2番目に赴任した学校は、いわゆる「教育困難校」であり、その学校で1年生を担任してから3年間で何を行ったかなども書かれています。
校長先生だけではなく、教員にオススメです!
●日本の大企業にお勤めの方
慣習的に行っていることが多い会社にお勤めの方は、ハッ!と気づくことがたくさんあると思います。
●小学生以上の子どもがいるパパママ
自分の子どもが学校で遭遇する問題のあれこれの答えのヒントがたくさん詰まっています。
宿題、定期テスト、運動会、成績表、修学旅行などなどあらゆる当たり前におこなっていることを異なった角度からの視点を身に付けることができます。
2014年から千代田区立麹町中学の現役校長先生。
1960年生まれとのことなので2018年現在58歳でしょうか。
山形や東京で公立中学校の先生をして、その後教育委員会などを経て、麹町中学の校長先生に。
改革を行う先生というのは民間企業出身が多いイメージがありますが(この本にも似たことが書かれてます)工藤勇一氏は、ずっと公教育にお勤めだったことが大きな特徴ですね。
外部から新しい風を吹き込んだのではなく、内部から気づきと改善を繰り返していった結果が書かれています。
超余談ですが、工藤勇一という名前をみて某アニメの工藤優作と勘違いするのは私だけではないはず(^_^;)
この本に何度も書かれているのが「目的と手段を取り違えない」です。
表紙に書かれている
・宿題は必要ない
・中間期末テストも廃止
というのも目的と手段を混同していることを見直した結果ですね。
工藤氏は、学校というものは、人が社会の中でより良く生きていけるようにするためのところだと言っています。
決して知識を必要ないといってるわけではなく、より良く社会で生きるために、
学ぶために、宿題や定期テスト以外のほうが良いのでは?という
今まで当たり前のようにやっていた宿題や定期テストを見直していきました。
この部分は、私が子育て講座をするときに伝えることと同じなので大いに頷いたところです。
子育て講座で私は、
子育ての目的は子どもが自立すること、幸せに生きること。
教育方法はあくまで手段だからそこを勘違いしてはいけない、という話をします。
公文式、七田式教育、シュタイナー教育、モンテッソーリ教育などさまざまな教育方法がありますし、小学校受験や中学受験、幼児教室に通ったりいろんな習い事をすることは、どれもこれも子どもが幸せに生きるための手段です。
その手段にとらわれて、子どもが不幸せにならないように、
常に目的は子どもの幸せだという話をします。
目的は1つでも手段はたくさんあるので、あれ?違うな?と思ったら、別の手段を使えば良いだけ^_^
この本では、いろんな学校の「当たり前」におこなってきたものに対して、
これは目的と手段が混同しているのでは?
ほかの手段があるのでは?
より目的を達成するにはどうすれば?
という見直すポイントがいくつも書かれています。
おもしろいと思ったのが民間企業との連携。
本の中に、教員は実社会を見てこれからの時代を生きていく上で必要な力を考え、授業の中身を考えられる柔軟な発想が求められること。
そのためにも民間企業と一緒に授業を行うことで時代遅れにならないようにしています。
修学旅行を旅行会社に全面協力してもらって取材旅行にするなどの発想も面白い!
ただ、毎年修学旅行を行なっているから行くのではなく、
なぜ修学旅行に行くのか?その目的を果たすためにどうすれば良いのか?と考えていきます。
また、放課後に校長先生が招聘した専門家による講座を開講しているそうです。
公立の学校は、私はあまり外部の人を構内に入れないイメージがありましたがこの校長先生は真逆!
多くのメリットが書かれていて、おもしろい!!
と思うと同時にこの本には書かれてない部分で気になったのがお金です。
招聘といっても無料ではないでしょうし、どこから捻出しているのか?
ほかの公立中学校でも可能なのか?というのはきになるところでした。
工藤氏は、改革ではなく改善していったと書いてます。
タイトルは「公立中学校校長の改革」となってますが、これは出版社がつけたのかな。
改革しよう!というよりも、より良くするために改善していった結果とのこと。
改革しよう!と思うと難しいですが、少しずつ目の前のことに疑問を持ち、より良くしていくために改善していこうとする姿勢が、結果として改革につながるのだと感じました。
学校教育の問題点について書かれている本はたくさんあり、その点はこの本も似ているところがありますがなんといってもこの本の特徴は、
公立の校長先生が現在進行形で行なっているということ。
私立でもなく、教育評論家が机上の空論をのべるのでもない。
公立で実際に取り組んでいるというのは、とてもおもしろいですね。
もしかしてら当たり前の学校教育を受けてきた自分を否定されるような感覚になる人もいるかもしれないですが、
そういう人にこそ真っ正面からむきあってほしい問題をたくさん詰め込んだ一冊でした。
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